「ご自由にどうぞ」なのに、手が伸びない?

「いつもキレイに使ってくれてありがとうございます」

そんな言葉が書かれていると、不思議と気分良く「自分もキレイに使おう」と思いますよね?

そんな風に『こうしてください』と言わなくても、なぜかそっちを選びたくなる。そんな、ことばや見せ方の小さな工夫(Nudge(ナッジ))を紹介していきます。

お店の片隅に、チラシを置きました。

「ご自由にお持ちください」

ちゃんと書いてあります。取りやすい場所にも置いてあります。

でも、なかなか減らない…。

「遠慮しなくていいのに」と、置いた側は思いますよね。

ところが、通りかかった人は、遠慮しているとは限りません。

「もらっていい」のはわかった。でも、「自分が持って帰る理由」は、まだ見つかっていないのかもしれません。

今回は、その一枚の“行き先”を思い浮かべてもらうお話です(*^^*)

■「持って帰った、その後」をひと言に

たとえば、地域の手芸教室のチラシ。

「ご自由にお持ちください」に、こんなひと言を添えてみます。

「手づくりが好きなお友だちにも、1枚どうぞ。」

「あ、あの人、こういうの好きだったな」

頭に誰かの顔が浮かんだら、そのチラシに使い道が生まれます。

自分は参加しなくても、あの人に見せたら喜ぶかもしれない。次に会った時の話のタネにもなりそうです。

「持っていっていいですよ」という許可に、「こんな使い方もありますよ」という小さな提案を足す。

それが今回の工夫(ナッジ)です。

ただし、「お友だちに配ってください!」では、急に仕事を頼まれた感じになりますね(^_^;)

「思い当たる方がいたら」「よかったら」と、選べる余地を残しておきましょう。誰かを誘う義務まで、一緒に渡す必要はありませんからね。

■ あなたの現場なら、どんな“行き先”がある?

① 地域の催しのチラシを、知り合いにも

元の言い方:「チラシをご自由にお持ちください」

工夫した言い方:「この催しが好きそうな方がいたら、その方の分も1枚どうぞ。」

Point:自分が参加するかどうかに加えて、「誰かに見せる」という使い道を伝える。

「たくさん配って」と頼まず、思い浮かんだ一人の分から…。

配布用に十分な部数がある時の言い方です。

② 食品店のレシピカードを、夕食の相談に

元の言い方:「レシピを配布しています」

工夫した言い方:「今夜のおかずに迷ったら。こちらのレシピを1枚どうぞ。」

Point:「料理の情報」を、「今夜、何をつくろう?」という身近な場面につなげる。

使う食材をカードの表に見せておけば、自分の家でつくれそうかも判断できますね。

何か買わないともらえないような雰囲気にしないことも大切ですね(^_^;)

③ 工務店の施工例(リフォーム例)を、家族との相談に

元の言い方:「施工事例集をお持ち帰りください」

工夫した言い方:「『こんな台所、どうかな?』。ご家族と眺める1冊にどうぞ。」

Point:資料を読む場面を、「家族と話す時間」として思い描けるようにする。

まだ工事をすると決めていなくても、写真を見ながら好みを話すことはできます。

④ 図書館や公民館のしおりを、今読んでいる本に

元の言い方:「しおりをご自由にどうぞ」

工夫した言い方:「読みかけの本に、1枚どうぞ。」

Point:小さな配布品にも、すぐ使える場面を添える。

「かわいいけれど、家に増やしてもなあ」と思う人にも、今、使う本が思い浮かぶかもしれません。

⑤ 地域の譲り合いコーナーで、空き瓶の使い道を

元の言い方:「空き瓶、差し上げます」

工夫した言い方:「一輪挿しや、小物入れに。使えそうなものがあればどうぞ。」

Point:「余ったもの」を、「暮らしのどこかで使えるもの」として見直すきっかけにする。

小さな花を飾った「見本」を一つ置くのもいいですね。

⑥ 展示会の製品資料を、社内で話すきっかけに

元の言い方:「カタログをご自由にお取りください」

工夫した言い方:「会社に戻って『こんなの見つけました』と話す時に。気になる製品の資料をどうぞ。」

Point:その場で購入を決める資料だけでなく、持ち帰って相談するための資料として案内する。

全種類を一式セットで渡すより、必要な製品の資料(チラシ・パンフ)を選べる方が、荷物にもなりにくいですね。

■ ひと言で、「使う場面」を見つけてもらう

今回の例に共通するのは、「誰に」「いつ」「何に使うか」のどれかを、ひと言で見せていることです。

「お友だちに」「今夜のおかずに」「読みかけの本に」…

どれも、難しい言葉ではありません。

でも、配る側が当たり前に思っていた使い道を、読む側にもイメージできるようにしています。

手に取らない理由は人によって違いますし、正直、何かひと言足せば必ず持ち帰ってもらえるわけでもありません。

案内を見て「これは今の自分には要らないな」と判断できたなら、それも大事なことです。

持ち帰った数だけを増やすのが全てではありませんからね。

■「どうぞ」の前に、ひと言だけ

いま置いているチラシや資料を、一つ見てみてください。

「これを持って帰った人は、いつ、誰と、どう使うだろう?」

一つだけでも十分です。

「ご自由にどうぞ」の前に…

「今夜のおかずに」

「ご家族と眺める1冊に」

「気になる方が身近にいたら」。

その一枚が、相手の暮らしのどこに入るのか…行き先を添えてみると、「あ、それならもらっていこうかな」という出会いが生まれるかもしれません(*^^*)

【おまけ】今回のお話に興味を持った方へ

「持ち帰った後の使い道」を添える工夫は、商品紹介にも使えます。「便利ですよ」に、どんなひと言を足したら、自分の暮らしを思い浮かべてもらえるでしょう?

お客様の「困っている時」「こんなことをしたい時」から言葉を考えるヒントを、

「ことのは塾」ホームページのこちらの記事で紹介しています(≧∇≦)/

→ Q.どんな時に使うのが良いですか?

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