AIで「マニュアル(手順説明書)」をつくる。

■「この機械の使い方、ちょっと教えてもらえますか?」
新しい人が入ってくるたびに、同じ機械の使い方を説明する。
電源を入れて、ここを確認して、このボタンを押して…。
ひと通り説明して、
「わかりました!」
と言ってもらえたので一安心。
…と思ったら、翌日。
「すみません、ここからどうするんでしたっけ?」
ありますよね(^_^;)
というより、一度説明を聞いただけで全部覚えられる人の方が珍しいと思います。
実際に自分で機械を動かしてみて、初めて、
「あれ?ここはどうするんだ?」
というところが出てくるものです。
そこで今回は、AIと一緒に「実際に使えるマニュアル」をつくってみましょう。
今回のお話は、実際にある企業の部長さんから聞いたお話をヒントにしています。
いろいろあって(笑)、会社名は内緒です(^^)
■ マニュアルをつくるために、もう一度説明しなくていい
マニュアルを作ろうとすると、
「まず手順を書き出さなきゃ」
「写真も撮らなきゃ」
「説明文もちゃんと考えなきゃ」
…と、新しい仕事がひとつ増えてしまいます。
これでは忙しい現場ほど、なかなかマニュアルができません。
そこで、この会社でやった方法が面白いんです。
新しい人に、いつものように機械の使い方を教える。
その説明を録音しておく。
以上です(笑)。
つまり、
「マニュアルを作るための説明」
をわざわざ別に録音するのではありません。
普段、新しい人に教えている、その説明そのものをマニュアルの材料にしてしまうんです。
これなら余計な仕事がほとんど増えませんよね。
しかも、実際の機械を前にして、
「最初にここを確認してください」
「この表示になっていなかったら、一度止めてください」
「ここは新人さんがよく間違えるところです」
なんて話しています。
机の上で思い出しながら書いた説明より、ずっと実践的な情報が入っているんです。

■ まずは「いつもの説明」を録音する
やり方はカンタンです。
新しい人に機械の操作を教える時、スマートフォンなどで音声を録音しておきます。
そして、その音声を文字起こしします。
そのテキストをAIに渡して、例えばこんな風に頼んでみましょう。
【プロンプト例】
この文章は、新入社員に機械の使い方を説明した時の文字起こしです。
この内容をもとに、初めてこの機械を使う人向けのマニュアルを作ってください。
「準備」「操作手順」「注意すること」「よく間違えそうなところ」に分けて、初心者でも作業しながら確認できるように整理してください。
まずは、説明されていないことを勝手に追加せず、この内容だけを使って作ってください。
これだけでも、会話だった説明をAIが整理して、手順書らしい形にしてくれます。
最初から完璧なマニュアルにしようとしなくて大丈夫。
まずは「たたき台」を作ってもらいましょう。

■ 録音するときの、ちょっとしたコツ
ただし、ここでひとつ大事なポイントがあります。
機械を目の前にして説明していると、つい、
「コレを押してください」
「次に、そこのボタンです」
「今度はこっちを開けます」
と言ってしまいますよね。
人間同士なら、指をさしているのでわかります。
でも録音された音声だけを聞いたAIには、
「コレってどれ?(^_^;)」
となってしまいます。
そこで、いつもの説明をほんの少し変えてみましょう。
「コレを押す」
ではなく、
「操作パネル右上の緑色の『運転』ボタンを押す」
「そこのレバー」
ではなく、
「本体左側にある黒い安全レバー」
というように、できるだけ具体的な名前で説明します。
これだけで、後からAIがマニュアルにするときの精度がかなり変わってきます。
そして実は、人に教える時にもこちらの方がわかりやすいですよね(^^)
■ 写真もAIに見せてあげよう
さらにオススメなのが、機械の写真をたくさん撮っておくことです。
全体の写真。
操作パネル。
ボタン。
レバー。
材料をセットする部分。
作業途中の状態。
エラーが出た時の画面。
などなど。
AIに写真も一緒に見せることで、
「この手順には、この写真があるとわかりやすい」
と整理してもらうこともできます。
この時、写真のファイル名もちょいと工夫しておくと便利です。
たとえば、
「01_電源を入れる前.jpg」
「02_運転ボタン.jpg」
「03_材料をセットした状態.jpg」
「04_作業完了時の画面.jpg」
といった感じ。
「IMG_5832.jpg」より、ずっとわかりやすいですよね(笑)。
どの写真が、どの操作のどのタイミングなのか。
ファイル名自体に情報を持たせておくと、AIにも人間にもわかりやすくなります。

■ 完成したら終わり…じゃありません
ここからが、今回いちばん大切なところかもしれません。
AIがきれいなマニュアルを作ってくれた。
「おお!できた!」
で終わりにしないでください。
そのマニュアルを、実際に新人さんに使ってもらいましょう。
一度教えてもらった人に、翌日や数日後、
「今日はこのマニュアルを見ながらやってみて」
とお願いしてみるんです。
すると、いろいろ出てくるはずです。
「ここ、どのボタンかわかりませんでした」
「この操作の前に、確認することありませんでしたっけ?」
「この写真、もう少しアップの方がわかりやすいです」
「ここでエラーが出た時、どうすればいいですか?」
こういう声こそ、ものすごく大切な情報です。
教えている本人には「当たり前」すぎて、説明するのを忘れていたこと。
一度聞いただけでは理解しにくかったところ。
実際に一人で操作して、初めて気づいた疑問。
これらを、またAIに追加していきます。
例えば、
「実際にマニュアルを使ってもらったところ、『運転ボタンを押す前に安全カバーが閉まっているか確認することがわからなかった』という意見がありました。この点を手順に追加してください」
こんな感じで十分です。

■ 「最初から完璧」より「使いながら育てる」
マニュアルというと、
「最初から漏れなく、完璧なものを作らなければ」
と思ってしまいがちです。
でも、それってかなり難しいんですよね(^_^;)
むしろ、
いつもの説明を録音する。
↓
AIにマニュアルのたたき台を作ってもらう。
↓
写真を加える。
↓
実際に新人さんに使ってもらう。
↓
「わからなかったところ」を追加する。
↓
またAIと一緒に直す。
この繰り返しの方が、ずっと「使えるマニュアル」になっていきます。
AIがマニュアルを作るというより、
教える人の経験と、使う人の疑問を、AIに整理してもらう。
そんなイメージでしょうか。
今まで「ちゃんとしたマニュアルを作る時間なんてないよ」と諦めていた会社でも、普段やっている説明を材料にすれば作れるかもしれません。
そして、使う人と一緒に少しずつ磨き上げていく。
そうして出来上がったマニュアルは、どこかから持ってきた一般的な説明書ではなく、その会社の現場で本当に役立つ「生きたマニュアル」になっていくはずです。
皆さんの職場にも、
「新人さんが来るたびに、毎回同じことを説明しているなぁ」
という仕事はありませんか?
もしあったら、その説明、一度録音してみてください。
そこからAIと一緒に、「使えるマニュアル」を育ててみましょう!(^^)


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