第6回:AIへのツッコミが自分を映す「ダメ出し・ひらめき・いい忘れ」


・「いやいや、そうじゃない!」は、実は大事なサイン?
・AIへのツッコミから見えてくる「ダメ出し・ひらめき・いい忘れ」
・AIは「正解の自販機」ではなく、「自分を映す鏡」だった?!
「いやいや、そうじゃないんだよな…」
AIを使っていて、思わず声が出てしまったことはありませんか?
「いやいや、そうじゃないんだよな…」
「急にどうしたの?! そのよそ行きのあいさつは!」
せっかく便利なAIを使っているのに、画面に向かって文句を言っている自分。
そして、ふと我に返って、
「これなら、最初から自分で書いたほうが早かったかも(^_^;)」
なんて苦笑いしてしまう。
ありますよね。
でも、ここでちょっと見方を変えてみてほしいんです。
その「ツッコミ」。
実は、ものすごく大事なものかもしれません。
前回の第5回では、AIの答えを見て感じる「なんか違う」という違和感が、考えるチカラの第一歩になる、というお話をしました。
今回は、その「なんか違う」が、もう一歩先へ進んだお話です。
AIの答えを見て、
「違う!」
「そうじゃない!」
「それじゃなくて!」
と、思わずツッコミを入れる。
その瞬間、私たちの頭の中では何が起きているのでしょうか?
私は、この「ツッコミ」を、
「ダメ出し」
「ひらめき」
「いい忘れ」
という3つのアンテナで見てみると面白いと思っています(^^)
■ ツッコミその1。「ダメ出し」は、自分のこだわりを教えてくれる
まずは「ダメ出し」です。
AIが作った文章を見て、
「こんな四字熟語、普段の会話で一回も使ったことないよ」
「こんなよそよそしい言い方をしたら、かえって距離を感じさせちゃうじゃないか」
なんて思ったことはありませんか?
こういう「イヤだなぁ」という反応。
実は、かなり大事なんです。
私たちは普段、
「あなたの仕事におけるこだわりを教えてください」
なんて聞かれると、案外答えられません。
「うーん……こだわりと言われてもなぁ」
となってしまいますよね(^_^;)
それも当然です。
自分のこだわりなんて、普段はあまり意識せずに持っているものだからです。
ところが。
目の前に「自分らしくない文章」が出てくると、
「いや、これは違う!」
と、すぐに分かる。
そこで、
「自分は、形式ばったマナーよりも、気さくな親しみやすさを大事にしたいんだな」
「綺麗な決まり文句よりも、飾らない自分の言葉で誠意を伝えたいんだな」
と、自分の大切にしているものが見えてきます。
つまり、
AIにダメ出しをしているようで、実は自分自身に「あなたは何を大切にしているの?」と聞いている。
そんなことが起きているんですね。
■ ツッコミその2。「ひらめき」は、AIを踏み台にして飛び出してくる
2つ目は、「ひらめき」です。
AIが作った文章に、
「うーん、なんか違う」
とダメ出しをしているうちに、突然、
「あっ!」
と別のことを思い出す。
そんな経験はありませんか?
たとえば、お礼のメールを書いているとします。
AIは、
「このたびは大変お世話になり、心より感謝申し上げます」
なんて、きれいな文章を作ってくれました。
でも、それを見て、
「いや、私が本当にお礼を言いたいのは、そこじゃないんだよな…」
と考えているうちに、
「あっ! そうだ!」
と、先週の出来事を思い出す。
「打ち合わせの帰り、雨の中で一緒にタクシーを探してくれたんだった」
そうそう。
本当に伝えたかったのは、そっちだった。
あるいは、お菓子を誰かに贈るとき。
AIは、
「日頃の感謝を込めて、心ばかりの品をお贈りします」
なんて文章を作ってくれます。
でも、
「いや、そもそもこのお菓子を選んだのは、あの人が『あんこが大好物なんです』って言っていたのを覚えていたからだ」
と、ふと思い出す。
これです。
真っ白な画面を前にして、
「何を書こうかな…」
とうんうん唸っているだけでは、なかなか出てこなかった記憶。
それが、AIの「平均的な答え」を見た瞬間に、
「いや、私が言いたかったのは、これじゃない!」
という形で飛び出してくる。
AIが出してくれた無難な「たたき台」が、思いがけず、あなたの記憶を掘り起こす踏み台になっているんですね。
皮肉なことに、
AIが平均点を出してくれるからこそ、「平均点じゃない自分だけの想い」に気づける。
そんなこともあるんです(^^)
■ ツッコミその3。「いい忘れ」は、自分の頭の中の前提に気づかせてくれる
そして3つ目が、「いい忘れ」です。
ダメ出しをして、
「あ、これが言いたかったんだ!」
とひらめいたあと。
ふと、こんなことに気づくことがあります。
「あれ?
そういえば、AIにアレを教えてなかったな…」
これ、かなりあります(^_^;)
AIは、こちらの頭の中を読めるわけではありません。
なのに私たちは、ときどき、
「これくらいのことは分かっているよね」
と、勝手に思ってしまうんですよね。
たとえば、
「この相手とは、もう5年の付き合いなんだ」
「普段は冗談を言い合う仲なんだ」
「先週、こちらの無理なお願いを聞いてもらって、本当に助かったんだ」
「このお菓子は、相手が好きだと言っていたから選んだんだ」
こういうことです。
自分にとっては当たり前。
だから、わざわざ説明しなくてもいいと思ってしまう。
でも、AIからすれば、
知らないものは、知らない。
当たり前ですよね(^_^;)
そこで、
「あ、これをちゃんと伝えないと、AIには分からないんだ」
と気づく。
これは単に「プロンプトの情報が足りなかった」という話ではありません。
自分の頭の中にあった、
「相手との関係」
「その仕事の背景」
「なぜ、そうしたいのか」
といったものを、自分自身で整理し直す作業でもあります。
つまり、
「いい忘れ」に気づくことは、自分の頭の中を整理することでもあるんですね。
■ AIは「正解の自販機」ではなく、「自分を映す鏡」
ここまで読んでいただくと、AIの見え方が少し変わってきませんか?
多くの人は、AIを、
「正しい答えをポン!と出してくれる自動販売機」
のように考えています。
だから、一発で思い通りの答えが出てこないと、
「なんだ、使えないな」
と、画面を閉じてしまう。
でも、本当は逆なのかもしれません。
AIは、正解を出してくれる魔法の箱というより、
「自分が本当に思っていることを引き出してくれる、おしゃべりな鏡」
なんじゃないでしょうか。
AIがちょっとズレた答えを出してくる。
だから、
「いや、そうじゃないんだよ」
と、自分の好みに気づける。
AIが無難な言葉を並べる。
だから、
「本当はこれが言いたいんだよ」
と、自分の気持ちが出てくる。
AIが的外れなことを言う。
だから、
「あ、あの話を伝えるのを忘れていた」
と、自分の前提に気づく。
そう考えると、AIの「ズレ」も、なんだか悪くないですよね。
■ AIを直しているようで、実は「自分」を見つけている
画面に向かって、
「おいおい、頼むよ」
「堅いよ!」
「そんなこと言いたいんじゃない!」
「あっ、あの話を伝えるの忘れてた!」
なんて、ブツブツ独り言を言っている。
一見すると、AIを直しているだけに見えます。
でも、実はそのとき、
自分が何を嫌だと思うのか。
何を大切にしたいのか。
誰に、どんな気持ちを伝えたいのか。
どんな経験をしてきたのか。
そんなことを、ひとつひとつ拾い集めているんです。
AIへのツッコミは、
自分の中にある「まだ言葉になっていなかったもの」を、表に引っ張り出してくれる。
そんな役割もしてくれるのかもしれません。
■ 不器用な「独り言」の中に、あなたらしさが宿る
もし今日、パソコンの前でAIの答えに首をかしげることがあったら。
どうぞ、遠慮なくツッコミを入れてみてください。
「堅いよ!」
「そんなこと言いたいんじゃない!」
「あ、あの話を伝えるのを忘れてた!」
それでいいんです。
むしろ、その不器用な独り言の中にこそ、あなたにしかないものが隠れています。
世界中のどんな賢いコンピューターにも真似できない、
あなたの経験。
あなたのこだわり。
あなたの記憶。
そして、あなたの体温。
ボタンひとつで100点満点の正解が出ないことを、少しだけ面白がってみる。
「おいおい、違うんだよなぁ」
なんてAIとツッコミ合いながら、画面の向こうの相棒と一緒に、自分の言葉を探していく。
そんな使い方も、なかなか楽しいものですよ(^^)

Q:AIに作ってもらった案内文を見ても、「どこを直せばいいのか分からない」ときは?
A:まずは「なんか違うな」と感じるところがないか、普通に読んでみてください。
「うちのお客さんには、ちょっと堅いな」「こんな言い方は普段しないな」と思ったところがあれば、それが立派な「ツッコミ」です。そこをAIに伝えるところから始めれば大丈夫です。
Q:個人事業主で、文章をチェックしてくれる人がいません。AIにツッコミを入れるだけでもいいんですか?
A:もちろんです。
むしろ一人で仕事をしているからこそ、AIを「相談相手」にしてみてください。「この文章、なんか自分らしくないんだけど、どこが違うと思う?」と聞いてみるのも面白いですよ。
Q:AIに文章を作ってもらったあと、「あの話を入れ忘れた!」となることがあります…。
A:それも大事な気づきです。
AIに伝え忘れていた「お客さんとのやり取り」や「今回だけの事情」などを思い出したら、その情報を追加してみましょう。AIが文章を作ってくれることで、自分の頭の中にある情報を整理するきっかけにもなります。
Q:AIに何度も直してもらうと、結局時間がかかりませんか?
A:たしかに、最初の文章をそのまま使うより時間がかかることもあります。
でも、そのやり取りの中で「自分は何を大切にしているのか」が見えてくることがあります。AIを「一発で答えを出す道具」ではなく、「一緒に考える相手」として使ってみると、少し見え方が変わってきます。

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