AIで「取引先に合う提案書」をつくる。

■ 「悪くないけど、うちのお客さんには合わないなぁ」
「このお店の集客アイデアを考えて」
AIに頼むと、SNS、割引キャンペーン、イベント…と、いろいろ出てきます。
でも、「店主さんはSNSが苦手なんだよな」「値引きはしたくないって、前にも言っていたし」。
そんな風に、案を見ながら首をかしげたことはありませんか?
文章は立派。でも、相手の顔が浮かばない。ちょいと惜しいですよね(^_^;)
そんな時に試したいのが、特定の仕事や取引先の資料を、AIの中のひとつの場所にまとめておく使い方です。
今回は、その場所を「仕事部屋」と呼んでみましょう。
そこでAIとセッションしながら、取引先の事情を踏まえた、一枚の提案書をつくってみます。
■ AIにも、「この仕事の背景」を渡してあげる
例えば、新しく仕事を手伝ってくれる人に、いきなり「次の企画を考えて」と頼んだら、どうでしょう?
過去の企画も、お客さまの希望も知らなければ、考えにくいですよね。
そこで、「前回はこんな提案をした」「先方はここを気にしている」と伝える。すると、相談が具体的になります。
AIとの仕事でも、これと似た工夫ができます。
ChatGPTの「プロジェクト」は、関連する資料・会話・指示をまとめ、継続する仕事に使える機能です。Geminiにも、資料や指示、会話をまとめて扱う「ノートブック」があります。
細かな仕組みには違いがありますが、今回は「仕事の背景を共有する場所」として使ってみます。
ここでいう仕事部屋は、AIのサービス内につくる場所です。パソコンのフォルダに資料を保存しただけでは、AIに渡したことにはなりません。
考える材料が増えると、「その相手なら、どうする?」という相談を進めやすくなるんですね(*^^*)
■ まずは、ひとつの取引先の「仕事部屋」を
最初は、よく相談する取引先を一社だけ選びましょう。
ここでは、架空の「こむぎベーカリー」の販促を手伝う仕事を例にします。以下の店名や事情、提案は、すべて説明用の架空の設定です。
パソコンで試すなら、入口はこんな流れです。
- ChatGPT:「新しいプロジェクト」を選び、「こむぎベーカリーの販促」と名付け、参考資料を追加する。
- Gemini:「ノートブック」から新規作成し、名前を付け、「ソースを追加」から参考資料を入れる。
「ソース」は、AIが参考にする資料のことです。機能の提供状況や画面の表示は、アカウントや設定によって異なります。
まずは、手元にある次の3つで十分です。
- 過去のチラシ:地元のお客さま向け。食パンが看板商品。
- 前回の提案と結果:値引き企画は、店主の希望で見送り。
- 打ち合わせメモ:土曜午後の来店を増やしたい。店主は一人で店を切り盛りし、SNSの毎日更新は難しい。
立派な資料でなくてもOKです。メモを貼り付けたり、短い文書にして追加したりできます。
資料には日付や「確定版」「検討中」がわかる名前を付けておくと、後で確認しやすいですね。
取引先の資料は、社内のルールや契約に沿って、AIに渡してよい範囲のものを使いましょう。

■ まずは、カンタンに頼んでみる
資料を入れた仕事部屋の中で、こう送ってみてください。
【プロンプト】
この部屋の資料を参考に、こむぎベーカリーの土曜午後の来店を増やす提案を3つ考えてください。
それぞれ、どの資料のどの内容を踏まえた案かも教えてください。
最初から「役割はこれで、条件はこれで…」と長い指示をつくらなくても大丈夫。
出てきた案を見ながら、少しずつ直していけばいいんです。
資料の読み違いがあったら、「そこは決定事項ではなく、前回の候補です」と伝えましょう。
参考にした箇所も、実際の資料と見比べてください。資料が入っていても、すべての内容が毎回正しく使われるとは限りません。
■ 同じお願いでも、提案が変わる
資料がない時には、「SNSを毎日更新」「期間限定の値引き」などの案が出てくるかもしれません。
先ほどの3つの資料を踏まえると、例えば、こんな方向が考えられます。
【提案の例】
「土曜午後に買える食パンの楽しみ方」を、店頭の小さな案内で紹介する。
毎日SNSを更新する負担を増やさず、来店中のお客さまに次の土曜の利用を案内する。値引きより、看板商品の魅力を伝える。
「土曜午後に増やしたい」
「毎日の発信は難しい」
「値引きはしたくない」
別々の資料にある事情がつながると、提案する方向も変わりますよね。
「ああ、そういえば前回、そう話していたな」と、自分が忘れていたことを思い出すきっかけにもなります。
ただ、この案はまだ仮説です。土曜午後に食パンが残っているのかは、資料からわかりません。
そこで、続けてこう頼みます。
【もうひと工夫のプロンプト】
この案を実行できるか確かめるために、資料にない情報を私に一問ずつ聞いてください。
私が答えてから、次の質問に進んでください。
「土曜午後に、食パンを販売できる見込みはありますか?」
と聞かれたら、知っている範囲で答えればOK。わからなければ「店主に確認します」で大丈夫です。

■ 最後のひと押しは、皆さんの経験
ここで、皆さんしか知らない情報を足しましょう。
この例では、店主に確認して、こんな事情がわかったとします。
【追加する情報】
土曜午後は食パンが売り切れることがあります。
ただし、土曜午前までに予約してもらえれば、午後の受け取り用に取り置きできます。
予約は店頭と電話で受け付けています。ネット予約には対応していません。
すると、案を「午後にも食パンがありますよ」から、「予約して、土曜午後に受け取れますよ」へ直せます。
事情を知っているからこそできる、具体的なひと工夫ですね。
その内容を加えて、提案書に整えてもらいましょう。
【仕上げのプロンプト】
ここまでの資料と、私が追加した情報をもとに、店主に見せるA4一枚分の提案書の文章をつくってください。
「目的」「提案内容」「この店に合う理由」「まず試すこと」「確認事項」の順でお願いします。
資料にある事実と、今回の提案を区別してください。費用や効果は、わからなければ未確認としてください。
例えば、こんな一枚になります。
【提案書の例】
目的:土曜午後の来店を増やす。
提案内容:食パンの取り置きと午後の受け取りを、店頭の案内で伝える。
この店に合う理由:看板商品を生かせる。値引きをせず、毎日のSNS更新も増やさない。
まず試すこと:店主と相談し、小さな店頭案内で試す。午後の予約受け取り件数と、受付の負担を記録する。
確認事項:取り置きできる数、受け取り時間、案内に載せる電話番号、印刷費用。
実際に使う前に、店主と条件を確かめてください。完成した文章を普段の文書ソフトに貼り、A4一枚に収まるよう整えれば、打ち合わせに持っていけます。

■ 決まったことを残すと、次の仕事にもつながる
店主と相談して案が決まったら、その結果も仕事部屋の資料に追加しましょう。
会話を全部残そうと頑張るより、「何を採用したか」「なぜ見送ったか」がわかる短いメモからで十分です。
AIに、こう頼んでもいいですね。
【プロンプト】
今回決まったことと、その理由を、次の相談で参考にできる短いメモにしてください。
採用した案、見送った案、まだ確認していないことを分けてください。
内容を確かめてから、資料として保存します。
営業時間や料金が変わった時は、最新の情報も追加し、古い資料との違いを明記しましょう。
次に「秋の販促を考えたい」と相談する時、前回の判断も考える材料になります。
取引先ごとの提案だけでなく、自社の広報や毎月のイベント準備にも、この使い方は応用できます。
■ 皆さんの仕事の積み重ねを、一緒に考える材料に
過去のチラシも、見送った提案も、打ち合わせの走り書きも。
仕事でたまった資料には、「この相手にどう役立てるか」を考える手掛かりが詰まっています。
AIが資料を整理し、つながりや案を示す。そこに、皆さんの経験や、今の相手の事情を加える。
そうすると、自分一人では見落としていた視点から、提案をつくれるようになります。
まずは、よく相談する仕事をひとつ。資料を3つ。
皆さんの仕事を知る相棒と、一枚の提案書をつくってみませんか?(*^^*)

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